受付番号 |
U24060 |
承認番号
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24019A |
企画名 |
展示会を身近にしよう |
活動分類 |
展覧会 |
活動目的 |
本企画の目的は、主に芸術鑑賞に関心を持たない人を対象として、直感的な鑑賞体験を通し、芸術を身近に感じてもらうことにある。
ここでの直感的な鑑賞体験とは、専門知識を必要としない鑑賞を通して獲得されるものを指す。私は、未就学児が芸術鑑賞を通して得る好悪の感情や五感に基づくイメージの想起を、直感的な鑑賞体験の代表例として捉えている。
勿論、未就学児に限定されず、例えば成人であっても、直感的な鑑賞体験は誰にでも可能である。
直感的な鑑賞の要件はごく少なく、先に好悪の感情や五感に基づくイメージの想起として挙げた、鑑賞者内部の動きに本人が自覚的であればよいと考える。
ここで話題を変え、私が本企画を思いついたきっかけである、「芸術の難しさ」について触れたい。
芸術に対する親しみは、人によって様々である。
私は大学入学以降、芸術に関心を持たないという学生に、その理由を聞くようにしている。自身との認識の差を感じ、興味を持ってのことだが、要約すると総じて以下のような返答を得ることが多い。
「芸術の鑑賞は意図やメッセージ、技術を理解する知識が必要であり難しい」
芸術鑑賞は難しいという意識があるために、主に芸術に触れる場となる展示会や美術館へ足を運ぶことが少なくなり、また芸術に対しても関心を抱きにくい人が一定数いるようである。
私は、このような理由のために芸術から距離を置く人がいるのであれば、惜しいと思う。
ここで示した「芸術鑑賞の難しさ」について掘り下げると、芸術の鑑賞には専門的な知識が必須であるという誤解が見えてくる。確かに、彼らの言う「難しい鑑賞」は芸術鑑賞の重要なスタイルの1つである。しかし一方で、芸術の鑑賞方法は決してこれ1つには限定されないことは、恐らくは広範に認められることであると考える。
冒頭に挙げた「直感的な鑑賞」も歴とした鑑賞方法であり、この要件の低さを考慮に入れれば、芸術鑑賞にあたっての障壁は必ずしも高くはないと評価できる。
したがって私は、芸術の鑑賞は誰にでもできること、必ずしも難しいものではないことを伝える展示ができないかと考えた。芸術鑑賞に専門性が必須であると考え、難しさを感じ、結果として芸術鑑賞の機会から遠ざかる人に対し、展示を通して「直感的な鑑賞」を提案することができないだろうか。直感的に芸術を鑑賞する体験を通し、芸術を身近に感じてもらうことはできないだろうか。
本企画は、直感的な鑑賞体験を誘導できる工夫を予定している。
最も大きな点としては石の広場で展示を開催することである。
石の広場は、筑波キャンパスの日常においては通路としての側面が大きい場所であると考えている。本企画における展示は写真作品を主軸とするが、石の広場は一般に写真作品の展示に好適な場所であるとは言い難く、言葉を代えれば、写真作品の展示を行うような場所ではない。
このような展示形態をとることで、本企画における展示は写真展よりも石の広場という空間を巻き込んだインスタレーションとしての側面を強調することになる。
そこに唐突に出現した作品は、事前に展示を知らない通行者の立場では、一見すると異物として認識されると予想する。作品として認識されるためには、展示の実態がある程度把握できるほどの距離へ近づくか、作品に対して十分に意識を向けることが必要である。
日常的に見慣れた広場における異物に対しては、その正体の確認のために注目を向ける通行人が一定以上いると予想する。そして、このような注視をきっかけとして、作品は通行人を半ば強制的に鑑賞状態へ誘導することができる。また石の広場と言う日常的な空間、その瞬間が日常の一時であるという通行人の状況は、専門性の高い鑑賞を行おうとする意識をもたらすよりも、短期間で下される直感的な鑑賞を誘導しやすいものと考える。
これは、「芸術鑑賞の難しさ」に関連して聞き取りを行った中で、展示室という空間に対して入りにくさを感じるという声があったことへの配慮を含む。展示室に入ることに障壁が存在することは、鑑賞体験が生じるよりも以前の問題であり、本企画が克服すべき重要な課題の1つである。
本企画の目標は、展示を通して直感的な鑑賞法の提案を行い、芸術鑑賞に難しさを感じる人に芸術への親しみを覚えてもらうことである。しかし、将来的には鑑賞のみならず、表現にも関心をもつ人が、専門性の有無に制限されることなく表現に踏み出す場、グループ展を開催したいと考えている。
私は、生物学類の所属であり、過去に芸術を専門的に学んでいた経歴も持たない。その一方で、芸術を常に身近なものとして親しみ、自身でも表現することに強い関心を持っている。
芸術を専門としているという背景を持つことは、芸術に取り組む上で非常に強力である。しかし、専門的な背景を持たないことが、芸術に取り組みたいという意志の障壁となることは好ましくない。
しかしながら本企画のような写真作品の展示をはじめとして、展示には労力やノウハウを必要とする側面があることは事実である。
グループ展を企画したいという意図はここにある。
私は、ノウハウの共有が容易であるグループ展であれば、将来的に個人、または他のグループにおいて展示会を開催し、自身の表現を発表する場を設ける難易度を下げることに貢献できるのではないかと考えている。展示会のノウハウを蓄積する、いわば予行練習のような場としてグループ展を設けることによって、芸術を専門とした背景を持たない人であっても、生涯芸術に親しみを持ち、参加する側でもあり続ける手助けとなることを期待している。
これらを踏まえ、本企画では将来的に継続して展示を開催する際の課題を洗い出し、グループ展の企画をブラッシュアップすることも目的の1つとして定めたい。 |
具体的な活動計画 |
展示テーマ
「知覚の余地」
日常を生活するということは、知覚の連続である。人は環境の内の一部を知覚して生活しているが、知覚の対象とならなかった部分には関心を向けないことが多い。本展示では、生活する環境に無尽蔵に存在する知覚され得る対象、これを「知覚の余地」と呼称し、展示を通してこれを鑑賞者に提示する。
簡易な言葉で言い直すと、知覚していないだけで存在する潜在的な要素が日常には膨大に存在していることを知ってほしい、ということが目的である。
直感的な体験に関連するテーマである。展示会に難しさを感じてほしくないという本企画の目的も踏まえ、是非、SNSの写真のように直感的に鑑賞してほしいと考えている。
展示内容
石の広場で写真を中心とした作品の展示を行う。
厚手のファインアート紙にプリントした写真を20枚前後、石の広場に展示する。
スチレンボードを重ねて土台を作成し、地面から平行に5cmから10cmの位置になるようにプリントを設置する。
プリントの大きさは最大でA4を検討している。形状はタイルをモチーフとするが、四角形には限定しない。
プリントは中央図書館側から見て左手中央のスペースに、1m以上の間隔をおいて等間隔に設置する予定である。総体としての形状は未定。
また広場の水飲み場付近に木製パネルを用いた写真パネルを展示する。パネルの大きさはA0、又は全倍(600mm×900mm)、枚数は3枚ほどを予定している。
この他、写真を用いた立体造形物を1点展示する。
期間内のスケジュール
2024年11月10日 活動開始
11月11日 施設課へ石の広場利用に関する問い合わせ
コンセプト、テーマ打ち合わせ
11月14日 コンセプト、テーマ最終決定
撮影開始
11月15日 撮影データ共有、制作内容打ち合わせ
11月22日 撮影データ共有、制作内容仮決定、制作開始
11月29日 撮影データ共有、制作進捗共有
12月6日 撮影データ共有、プリント作成、苗カバー選定および購入
12月13日 スチレンボード加工、現場確認(石の広場)
12月20日 制作締め切り、現場確認、当日シフト確認
12月24日
7:00 展示設営開始
8:00 展示開始
20:00 スタッフ撤収
12月24日
8:00 展示開始
18:30 展示終了、撤収開始
19:30 撤収完了、解散
※ 展示期間の8:00〜20:00 はスタッフ常駐。スタッフは募集を検討中。
展示時間中に石の広場に常駐する。作品の汚損や持ち去りの監視、特に作品が風で飛ばされる、倒れるなどした際に、周囲に危険な状況とならないように対応、復帰作業を行うことが中心的な仕事になる。
一般的な展示会のように監視の存在を主張することはせず、その場に居合わせた通行人のようにふるまってほしいと考えている。作品の状態に目が届く範囲内で、自由に過ごしてもらいたい。
石の広場での常駐はシフトを組んで実施する予定である。
また、展示の設営および撤収をサポートしてくれるスタッフの募集も検討している。
1月10日 反省会
活動終了 |
活動場所 |
・1C104暗室
・石の広場 |
活動期間 |
2024/11/10 ~ 2025/01/31 |
イベント日・時間 |
2024/12/24 ~ 2024/12/25 07:00 ~ 20:00
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対象者 |
学生、教職員、学外者 |
予定希望人数 |
100人 |
最低必要人数 |
2人 |
企画または グループのURL |
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企画申請者(プランナー) |
岩田悠佑(生物学類3年) |
オーガナイザー |
二村祥太(医学類3年) |
パートナー |
中田和人(生命環境系) |
備考 |
雨天時には苗ドームを用いて作品を保護する予定である。プリントは地面から距離を有するため、ドーム下部からの水の侵入は問題としない。
スチレンボードはタイル対応、はがすことができる両面テープを用いて固定する。
強風時は通常の接着のみで問題ないと推測されるが、雨天時の強風では苗ドームの縁に重りを固定して対応する。
展示時間中は1名以上が石の広場に常駐し、作品の持ち去り防止や天候への対応を行う。
天候を含む作品の汚損に対しては、監視およびカバーの利用によって防止を試みるが、汚損が発生した場合でもそのままで展示を続行する。スチレンボードの土台が破損した場合には、修繕を行う。 |
画像 |
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